住民税の均等割を安くする3つの方法

 

この記事では、資本金が1000万を超え1億以下の株式会社を主に見据えて、法人住民税の均等割を安くする手段を中心にその方法の詳細を述べたいと思っています。

表題の方法は次の3つになります

 

 

資本金1000万円超~1億円以下の企業は日本にどのくらいいるのだろうか。

国の統計によると2016年現在
大企業        約1万1千社
中小企業  約358万社
中小企業のうち、従業員が 「製造その他20人以下」 「商業・サービス5人以下」の企業を小規模事業者といい、約305万社といわれています。
中小企業に分類されているのは資本金が3億円以下の企業なので、その中で、従業員規模が前段のような会社は概ね資本金が1億以下ではないでしょうか。
従って日本企業の中で資本金が1億以下の企業は低く見積もっても8割ではないでしょうか。

2017年の国税庁の統計によると
申告している法人数は約270万社あり、うち

資本金1000万円超~一億円以下の法人数は約107万社、あるそうです。

この、約 100万社がこの記事の対象者だということができるでしょうか。

 

 

住民税均等割非課税は可能?

 

住民税の均等割りはかつて、無償減資によっては「資本金等」を減らせなかったのですが
平成27年の改正以後可能になりました。

住民税均等割は「休眠届」が認められれば自治体にもよりますが、免除できますが、活動している法人であれば0にはできません。

 

法人住民税のしくみと均等割

会社にかかる税金の主なものは以下になります。

法人税

消費税

事業税

住民税

詳細は「 法人住民税のしくみ 」>>>を参照ください。

この記事では要点のみ、お話します。

資本金等都道府県分市町村分合計
1000万円超1億以下50,000130,000180,000
1000万円以下20,00050,00070,000

上の図表をみてください。

これは法人住民税、均等割の資本金別の金額です。50人未満の法人分の抜粋です。

この金額は多くの自治体でこんなもんです。これより安いところは調査した中ではなく、数千円から2万円ほど高い自治体もあります。

上の図で注目するのは資本金等です。「資本金」ではなく「資本金等」となっています。この小さな文字一個で大変な違いなんです。 「 資本金等 」>>>とは何か。

 

 

資本金を1000万円以下にすると均等割が18万から7万に下がる。

資本金等を1000万円以下にすると均等割18万円を7万円にできます。

企業規模によっては、どうということない金額かもしれませんが、小規模事業者で経営の厳しい事業者にとっては決して小さい金額ではないででしょう。

 

 

減資  無償減資

 

 

均等割を安くする方法の第1弾
無償減資

無償減資とは、現金の増減をともなわない減資の方法です。

無償減資は、欠損会社がその欠損を相殺して、減らすことにより、税法上の負担を軽減する。

あるいわ、財務健全性の向上で対外的な信用を維持する目的などで行われます。

平成27年度税制改正により、法人住民税の均等割の税率区分の基準となる資本金等の額の基準が改正されました。従来「無償減資」で減らした資本金は、税法の規定では、「資本金等」に加算することにより、「資本金等」を減らす効果がなかったのですが、繰越損失の相殺の経理処理を行うことを条件に「資本金等」から減算することが認められるようになり、にわかに脚光を浴びるようになりました。

 

資本金減資の手続き方法

資本金の額を減少させて、減少した資本金の額を資本剰余金の額に組み替えることができます。

資本金の額を減少するには、株主総会の特別決議+債権者保護手続きによって行います(会社法第447条1項、同法449条第1項)。

減資の流れ

 

減資の官報掲載をする

株主総会により、減資の決議をする

登記申請をする

 

減資の官報公告をする。

減資には債権者保護手続が必要なためです。

本来であれば、減資の意思決定後に官報公告の順番が正当ですが、もし、内諾ができれば、先に減資公告をしてから株主総会で議決するのが実務的ではあります。

というのは、株主総会での議決事項に「 効力発生日 」があり、この日付は官報掲載日から最低でも1ヶ月以上開けなければならない。また、万一不服の申し出などにより、減資ができないということもあり、官報掲載を先にして、効力発生日を決めてから、株主総会を開催するのはよく行われます。

さきに、官報掲載日の見込みを立ててから、余裕を持った日付を「効力発生日」に設定することもできると思います。

 

官報販売所に連絡して、「 減資公告 」掲載を依頼します。

資本金の額の減少公告
 当社は、資本金の額を2,000万円減少することにいたしました。
 この決定に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。

 なお、最終貸借対照表の開示状況は次のとおりです。
 掲載紙 官報
 掲載の日付 令和2年6月20日
 掲載頁  XX頁(号外第XXXX号)

 令和2年5月30日

  東京都品川区蒲田一丁目1番1号
   東京商会株式会社
   代表取締役 東京太郎

 

 

減資公告を依頼すると、決算公告が前提となるため、同時掲載をする場合があります。

 

この同時掲載は高額なので、減資に先立って、官報公告を「電子公告」に変更してから、減資公告のみ掲載する方法もあります。この場合、決算公告はHPに掲載します。

作成を依頼できるサイトへ  >>>

 

 

株主総会決議

株主総会で決議する

減資は、原則として株主総会の特別決議が必要となります(会社法447条1項、309条2項)。

この株主総会では、以下の事項を決定する必要があります(会社法447条1項)

・減少する資本金等の額

・減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額

・資本金の額の減少が効力を生ずる日

 

 例外的に以下の2つの場合には、株主総会の特別決議によらずに資本金を減少することができます。

  • 株式の発行と同時に資本金の額を減少させる場合に、効力発生日後の資本金の額が効力発生日前の資本金の額を下回らないとき

→取締役会設置会社では取締役会決議、取締役会を置かない会社では取締役の決定

  • 定時株主総会で欠損填補に充てる場合(減少する資本金が、定時株主総会における欠損の額を超えない場合)

→株主総会の普通決議

 

議事録の記載内容

減資分の資本金の額は「資本剰余金」の額に組み替えることになります。

減資により生まれた「資本剰余金」は、1年以内に損失補填のため、「利益剰余金」に振替ないと住民税上の「資本金等」から減算できません。

詳細は 「 資本金等 」>>>とは何かをご参照ください。

 

なので、その件も減資に関する株主総会議案に盛り込んでおくことが実務的にはよろしいかと思います。

  株主総会議事録>>>  

 

 

減資登記

登記申請書に以下のものを添付して法務局に提出します。

株主総会議事録 1通

●  株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) 1通

●  官報写し

●  異議を述べた債権者に対し,弁済若しくは担保を供し若しくは信託したこと又

は資本の減少をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面1通

●  ( 知れたる債権者がいない場合、その旨の「上申書」)

官報公告の写しは掲載日と掲載内容をコンパクトにまとめて、原本の写しに相違ない旨の記載と代表取締役の記名押印をしたものを添付します。

その上で、原本を定時して窓口で照合を受けます。

作成を依頼できるサイトへ  >>>

 

減資が「資本金等」を減らすための、「経理処理」

仮に、今3000万円資本金のある会社の資本金を2000万円減資した場合。

経理伝票イメージで図式化すると下記のようになります。

まず、資本金の減資分をその他資本剰余金に振替えます。

その後、その他資本剰余金をその他利益剰余金に振替ます。

資本金 3000
繰越利益剰余金 ▲2500

借方)

(貸方)

資本金

20,000,000

その他資本剰余金

20,000,000

その他資本剰余金

20,000,000

その他利益剰余金

20,000,000

資本金 1000
繰越利益剰余金 ▲500

 

法人税法では減資した金額は「資本金等」に加える必要があります。

ので、減資した金額は加算するので、引き下げ効果がありませんが、平成27年度税制改正により、資本金又は資本準備金を、「その他資本剰余金」に振替後、1年内に「その他利益剰余金」のマイナス部分に充てた金額は「資本金等」から控除できるようになりました。このため、従来無償減資は均等割の引き下げ効果がえられなかったのが、引き下げることが可能になったわけです。

なので、資本剰余金から利益剰余金への振替は極めて重要なことなりますので、減資の株主総会の議案に同時承認して、減資の効力発生日において、一括振替処理するのがいいと思います。

詳細は「 法人住民税のしくみ 」>>>を参照ください。

 

 

減資  有償減資

 

 

均等割を安くする方法の第2弾「有償減資」です。

有償減資・無償減資どちらも、「資本取引」と位置付けられます。

ただし、有償減資の場合は、「みなし配当」が生じ、申告調整が必要な点が「無償減資」と異なります。

「資本金等の額」の減少額

有償減資は無償減資と異なり、減少資本金の一部が法令に定められた率によって、ダイレクトに「資本金等」から控除されます。

有償減資による「資本金等」の額の減少分は

減資対象資本金等✕資本金等/純資産(減少分配直前の数値)となります。

純資産に含む資本金率が大きいほど「資本金等」からの減算率が大きくなります。

当該出資等減少分配の直前の資本金等の額にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合を乗じた額 (法人税法施行令8条1項19)

「 資本金等 」>>>とは何か。

 

事例 1

資本金2000万円
繰越利益金1000万円

資      産 負          債
資   本   金
(2000)
利益剰余金
(1000)

この事例で、本稿の目的である、資本金等を1000万円以下にするには。

減資額をいくらにすればいいのでしょうか。

計算式の原型は

減資資本金実施額  C

直前の資本金等  A

直前の利益積立金  B

とすると( この事例では資本金=資本金等とします )

減額資本金等 D  は、

D=C ✕ A ÷(A+B)

実施後

A-D=1000万  にしたい。

言葉にすると減資額に資本比率{A /(A+B)}を乗じた金額が資本金等減算金(D)

となります。

なので、減算後の資本金等が1000万になるだけの、減資額を見つければいいでしょう。

これを計算式にすると以下になります。

C=( A-1000 )/( A / ( A+B ) )

( 数字を代入すると )

C=(2000-1000)/ (2000/(2000+1000))

C=1000/2000*3000

C=1500

1500万円減資すると、「資本金等」を1000万円にする効果が得られます。

ちなみに、減資により減少した「 資本金等 」と減資額との「 差額 」は税務上「 みなし配当 」となります。事例では500万

そして、結果500万円となった資本金を利益積立金から振替増資して1000万円にすることが、対外的には必要となるかも知れません。

結構複雑ではありますが

無事完了(拍手

といきたいところではありますが・・・

ここに制度上の別の障害がありできません!

それは

「 減資は剰余金を超えて実施できない 」という「 会社法 」の規定で、これにより上記事例は同法違反となります。

(資本金の額の減少)
第四百四十七条  株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  減少する資本金の額
二  減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三  資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2  前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
3  株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

 

 

ということは、上の事例では1500万円未満の減資では、資本金等を1000万円以下にできないのですから、このようなケースはできないということになります。

ではどういうケースであればできるのでしょうか

例えば

資本金等2000万円
剰余金  2000万円

では

資本比率が1/2なので、1000万円の資本金等減額効果を得るためには、2000万円の減資をすれば、資本金等を1000万円に引き下げられます。これであれば、「 会社法 」の制限もぎりぎりクリアです。

この場合の減資後、資本金は「0」となるため、2000万円の剰余金から1000万円程度の増資は「必須」となるでしょう。

 

事例2

資本金1300万円
繰越利益金400万円

資      産 負          債
資   本   金
(1300)
利益剰余金
(400)

この事例で、本稿の目的である、資本金等を1000万円以下にするには。

減資額をいくらにすればいいのでしょうか。

計算式の原型は

減資資本金実施額  C

直前の資本金等  A

直前の利益積立金  B

とすると( この事例では資本金=資本金等とします )

減額資本金等 D  は、

D=C ✕ A ÷(A+B)

実施後

A-D=1000万  にしたい。

言葉にすると減資額に資本比率{A /(A+B)}を乗じた金額が資本金等減算金(D)

となります。

なので、減算後の資本金等が1000万になるだけの、減資額を見つければいいでしょう。

これを計算式にすると以下になります。

C=( A-1000 )/( A / ( A+B ) )

( 数字を代入すると )

C=(1300-000)/ (1300/(1300+400))

C=300/1300*1700

C=392.30

端数をまるめて

減資額 395万円

395万円減資すると、「資本金等」を概ね1000万円にする効果が得られます。

減資後資本金は984万円となります。

この金額なら資本金の1000万円への調整は必須ではないかもしれませんね。

ちなみに、減資により減少した「 資本金等 」と減資額との「 差額 」は税務上「 みなし配当 」となります。事例では約95万

 

 

シュミレーションの結果

この有償減資を利用した、「 資本金等 」を1000万円にする目的には

減資前の「 資本金等 」が2000万以下だけが可能

「 シュミレーション」>>>を参照ください。

また資本金等が概ね1500万以下で可能領域が広がり、そのうち、できるだけ剰余金も少ない方が、減資後の資本金調整も必要ないです。

ただ基本は

有償減資⇒資本金調整増資

だと思います。

結論

資本金等が1000万円超~1600万円程度で債務超過でない企業に、利用価値がありそうです。

作成を依頼できるサイトへ  >>>

 

 

減資登記(有償)

会社法における減資については、有償、無償の別はないので、減資登記には株式数の変更などは伴いません。

単純に資本金の減額のみを登記します。

違うとすれば、減資に関する株主総会での議決内容くらいだと思います。

  株主総会議事録(有償)>>>  

 

 

自己株式の取得

自己株式の取得は「 資本金等 」の減算対象です。

しかし、こと法人住民税の「資本金等」に関する限り、結局税金の引き下げ効果がありません。

なぜか

先の無償減資の項目でも触れましたが平成27年の税制改正のおり、住民税の「資本金等」が資本金と資本準備金の額を下回っている場合、「資本金等」の額を資本金と資本準備金の合計額とする。とされたからです。