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合同会社
合同会社は近年増加の一途
平成18年5月に会社法が制定されたときにできた、合同会社は、有限会社が新規に設立できなくなり、比較的安価に法人が設立できる新法人として、直ぐに利用者 が増えていきました。
平成18年には3千社ほどの設立件数が平成30年には3万社ほどの設立数となっています。
ちなみに平成30年の株式会社設立件数は約9万社です。
合同会社は持分会社の一種です。なので、出資と役員の関係が不可分という点で、株式会社や有限会社と異なります。
また、株式会社や有限会社では役員就任につき、法人がその構成メンバーになれませんが、法人も社員となれます。
このサイトは役員変更の考察ですので、
① 合同会社の役員構成
② 役員任期と変更手続き
③ 合同会社全般の基本知識 の順でみてまいりましょう。
④合同会社の役員変更登記事例集
合同会社の役員構成
社員の資格
合同会社の役員は「有限責任社員」となります。有限責任社員は原則「業務執行社員」となり、その「業務執行社員」○○として、登記します。
定款で特段の定めをすると、「業務執行社員」とならないことも可能です。
さて、有限責任社員になる資格ですが、持分会社には役員の欠格事由がありません。なので、自然人は勿論、法人もなれます。
また、外国人、未成年は株式会社でもなれますが、株式会社での一定の法律要件による欠格者にも一切制限はありません。
ただし、本人に法律行為を単独で締結する能力のないものは別途承諾書などは必要です。
代表社員
合同会社の「業務執行社員」は本来会社を代表します。
合同会社の代表社員は、株式会社の非取締役会設置会社とほぼ同じような扱いです。
つまり、代表社員を選べばその社員が代表社員、代表社員を選ばなければ全員が代表社員となります。
そして、代表社員を選んでも、選ばなくても、結果として会社の代表権を持ったものは全て代表社員として登記します。
役員任期と変更手続き
役員任期
合同会社の役員は原則的に任期はありません。
有限責任社員 加入・退社の予備知識
有限責任社員は資本参加が必須です。加入(就任のこと)にしても退社にしても資本金が移動します。
もし単独で加入すれば増資、単独で退社すれば減資となります。
そうなると役員変更では済まなくなります。別途増資登記と減資登記が必要となります。
増資は勿論、減資となると官報公告から減資登記から大変な時間と費用がかかります。
なので、通常加入の場合は既存の社員から譲渡を受ける。退社の場合は既存の社員に全額譲渡して、資本金が増減しない形での退社するケースが多くなります。
参考:第585条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
有限責任社員 加入
持分会社の有限責任社員に就任することを会社法上では加入と呼びます。
有限責任社員に加入しただけでは、登記事項ではなく、定款に特記があって業務執行社員にならない場合以外は、そのまま「業務執行社員」となり。そのことを登記します。
「業務執行社員」の加入に就任承諾書は不要です。 社員同意書の記載を援用する形で登記します。 ( 社員の加入)
第六百四条 持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
2 持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
※※ 法人の加入 ※※
法人が「業務執行社員」になる場合、その法人に属する者の中から、「職務を執行する者」を選出する必要がある。そして、選出の証拠として、当該法人の取締役会議事録などで、選出された経過を添付する必要があります。
(法人が業務を執行する社員である場合の特則)
第598条 法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならない。

代表社員加入
合同会社の代表社員の就任
代表社員の就任承諾書の必要性については、専門家の間でも定説がないようです。
社員の互選の場合は不要、定款で選定すれば不要、ただし、代理人による定款作成であれば必要などなど・・・
東京法務局では、社員1名であっても承諾書は必須という見解をもらったこともあります。
なので、就任承諾書と印鑑証明書の添付は必要と思った方がいいと思います。
さらに、裏付けは変更後の定款該当条文が掲載された社員同意書となります。
社員の退社
社員の退社には任意退社と法定退社があります。
株式会社の辞任は基本自由意思ですが、合同会社の場合には制限があります。
原則は決算期末日に退社できます。そしてその日の6か月以上前に予告が必要です。
次に一番多いケースだろうと思いますが、総社員の同意に基づく退社です。これは即時退社が可能です。
(任意退社)
第606条 持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合又はある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合には、各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、六箇月前までに持分会社に退社の予告をしなければならない。
2 前項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3 前二項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社)
第607条 社員は、前条、第609条第1項、第642条第二項及び第845条の場合のほか、次に掲げる事由によって退社する。
一 定款で定めた事由の発生
二 総社員の同意
三 死亡
以下省略
□ 退社した社員が業務執行社員や代表社員であれば登記変更が必要です。
□ 代表社員の退社ですが、会社法に特段の規定がないので、自由に退社できると推察されます。
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合同会社の基本知識
合同会社はいいとこどり
合同会社は、合名会社、合資会社と同様、持分会社に位置づけられています。
そのため、社員は会社に対して責任が発生した場合、連帯して無限責任を負うのが原則となっています。
しかし、合同会社の場合、社員の責任は株式会社と同様、出資した額を限度で負う有限責任の形を取ります。合名会社や合資会社のように、無限責任を負う必要はありません。
合同会社は、株式会社と持分会社のメリットを同時に受けられる会社形態だといえるでしょう。
自由な配当設計が可能
株式会社の場合、資本金に出資した人の出資金額に比例して配当するのが原則ですが、合同会社の場合は出資金は勿論、技術の提供やのれんの提供などを評価したり、自由な配当を定款で設定することにより、より多彩な人材を集結することが可能です。
(利益の配当)
第621条 社員は、持分会社に対し、利益の配当を請求することができる。
2 持分会社は、利益の配当を請求する方法その他の利益の配当に関する事項を定款で定めることができる。
合同会社 役員変更事例集
合同会社・一人役員の交代登記申請
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